2018年08月

 
 
麻や綿の生地でつくられた単衣(ひとえ、裏地のない着物)を帷子(かたびら)と言います。
現在友禅の技法で染色する場合、生地はほぼ絹地です。しかし江戸時代、絹は高価であり身分制上の制限もあり、なかなか着られるものではなかったので、今に伝わる友禅染の着物にも麻や綿に染めたものがよく見られます。
糊防染する友禅の初歩のものは庶民の着物からスタートしたのです。
暑い日々が続くからか、上野の国立博物館で友禅染の帷子を展示していました。


江戸時代からこれまで保存されてきたのは「豪華」だったり「優れた染色」だったから。
この作品はその両方。しかも解説によれば清水の舞台の模様は当時流行だったそうです。


江戸の後期になると庶民でも物見遊山を楽しめるようになり、嵐山と並び清水は人気スポットだったそうです。今もあまり変わりませんね(*^^)

今風に言うなら無線友禅


竹笹を麻にスッキリと墨描きしています。


帷子イコール湯帷子(ゆかた)になっている現代の目で見ると、この作はゆかたそのものみ見えます。
でも解説によればこの帷子は元々は振袖だったものを後に袖を切って留袖に仕立て直したものだそうです。立派な外出着(訪問着)だったわけです。


こちらも今なら絹の単衣で誂えるべきところ。商家や農家で余裕ある階層がこのように豪華な帷子を着たのでしょう。それに八代将軍吉宗は経費節減のため絹物の直用を武士階級にも制限したそうですから、麻の友禅の需要は想像以上だったのかもしれません…


糸目糊がきれいに浮いている作品です。

現代の伝統工芸としての友禅染は手描き友禅型友禅に分かれますが、江戸期の友禅はほぼ手描き。型紙の発達を待って型友禅が盛んになっていきます。筒に入れた糊を手で挿す手描き友禅の方が原始的でした。江戸初期の素朴に太~い糸目糊の友禅を見たことがあります。



糸目友禅のお手本のような麻の帷子。糸目も細く、笠の中は※糊疋田です。季節先取りの紅葉。ぼかしも細かく刺繍もあしらわれている豪華版です。


どんなお嬢さんが、どんな髪型でどんな簪、小物を合わせて着ていたのでしょうか。タイムスリップして見てみたいですね。

極小の細かい絞りをぎっしり詰めた絞り染めを鹿の子絞り、疋田(ひった)絞りといいます。人気のある模様だったので友禅模様にそれを取り入れて糸目の糊を使って絞りのように見せることを糊疋田(のりびった)と呼びます。(なぜか糊鹿の子とは呼びません)


今回は帷子に合わせて江戸期のすばらしい団扇が展示されていました。


江戸後期から明治期までの作で、どれも大変凝った作りでした。


バラ模様 花の部分だけ和紙が貼られています。涼しそう!
でもよく考えると…風を起こす効果は低い?


流水もみじ模様 こんな狭い団扇の中に大胆な水しぶきが!


月模様 花の向こう、主役の月の部分は和紙を貼らずに余白の効果のような感じに。


玩具模様 お子様サイズでも手抜きのない作り。絵師の名前と落款があります。

八月も終わりますが、まだまだ暑そうですね。(^^;)


着物あれこれ | 11:00 PM | comments (x) | trackback (x)
東京手描き友禅を誂える時は色々なご希望を承ります。日本古来の文様でないことも多いので、機会があれば他の分野の美術品も見て勉強させてもらっています。
今回はハイジュエリーの老舗ショーメの展覧会にいってきました。



 麦の穂をデザインした有名なティアラがチラシの表を飾っております。


 チラシ裏側


 右端の変わった形のネックレスはクリスタルで作られた白い蛸にダイヤがあしらわれたもの。モチーフは植物が一番多いのですが、昆虫、鳥も多くデザインの創意を凝らしてきた歴史を感じました。
中央下に大きく写るダイヤのネックレスも麦の穂のデザイン。


精密なデザイン画も見られたのが展覧会のよいところ。お店では見られませんから。
いえいえ、お店には入ることも出来ません~(^^;)
銀座通りに面したショーウインドウくらいは眺めたいものですが、ほら!入口に威厳のある男性が立っておられますよね、気になってしまうので、ショーウインドウだけとはいえ足を止めるか止めないか位の速度でサッと見るだけ、なのですよ~~(^^;)

 会場内に撮影コーナーがありまして、展示品のいくつかが画像化されていて写すことができました。

髪飾り。日本の簪のようですね。


ブローチ。
鳥の形で尾羽の部分に本当の羽根を指すことができます。
(チラシに小さく写っていますよ)
このように複数の用途のある作もかなり見られました。
ベルトと首飾り、ヘアバンドなど。

パンジーのティアラ


 展示の実物は花びらのカーブが柔らかく、
硬いダイアで作られていることを忘れそうでした。

 ショーメはナポレオン時代以来240年もの歴史があるそうです。
ナポレオンがローマ法王に贈呈したという宝冠の展示もありました。


        写真は図録から
 豪華ですが、解説によれば長い歴史のなかで宝石が外されたりナポレオンを示す模様が削られたり色々あったそうです。
今のフランシスコ法王様は質素な方だそうですが、儀式によってはこのような宝冠をおつけになることもあるのでしょうか。

この展覧会は9/17まで。丸の内の三菱一号館美術館にて。
展覧会ルポ | 12:09 AM | comments (x) | trackback (x)
 

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