2022,01,22, Saturday
今日は手描き友禅に欠かせない道具の手入れをしました。
伸子針の色抜きです。
伸子針(しんしばり)というのは、
このように地色を
引き染めするにも、
模様の色挿しをするにも、は生地をピンと張る必要があります。
欠かせないのが伸子針で、
竹の先端に金属針を打ってある棒針です。
生地を横糸にそって横断するように端と橋に金属針をかけて、生地を突っ張らせる感じです。
染めが終わると染料がついてこんな状態。このまま白い生地に使えばどうなるか。赤や青の染料で汚れてしまいます。
次回の使用に備えて染料を煮洗いして落とすのです。
方法は一つではありませんが、ぼかし屋では大きなホーロー鍋で
ハイドロコンクという粉末の抜染剤を入れて煮落とします。
グラグラ煮ています。
針の上下を入れ替えながら。竹も熱くなっているので軍手が欠かせません。
色が抜けたら、今度は
水洗い。ハイドロコンクの成分が竹に残らないように。
水切りして日当たり良いところで二三日かけて
完全に乾燥させます。
湿気が残っていると保管中に竹にカビがつく心配があります。
綺麗になりました。次の染めへ
スタンバイです。
ちなみにこの伸子針。
自然の竹で職人さんが作ってくださるものなので、一本一本の太さが微妙に違っています。
染めの作業をしていると、その時々によって、
生地が含んだ水分の具合が変わり、すると
生地の横幅に違いがでることがよくあります。針をうっても
今一つピンとしない事や、逆に張り過ぎて
生地が痛がっているような場合があるのです。
そこで
竹ごとの太さの違いを利用して、適切な針に差し替えて、ピン!の張り具合が生地と染め作業にとって丁度よいように調節できるのです。
竹の伸子と違って染料が浸みこまないグラスファイバー製の伸子針もあるのですが、ぼかし屋では竹一辺倒です。
竹ですから何度も使えば折れることもあり消耗品なのですが、これからも作って下さる職人さん、よろしくお願いいたします。
東京手描友禅の道具・作業 | 02:59 PM
| comments (x) | trackback (x)
2022,01,03, Monday
東京手描き友禅 ぼかし屋 新年ご挨拶
謹賀新年
ぼかし屋友禅 宮崎 桂子
今年も「きものブログ」で、友禅染めの様子や道具や材料、生地、模様の参考となる日本美術のことなど、ゆるく広く紹介していきたいと思います。
ふと思い立った時には是非ぼかし屋のホームページ、ブログにアクセスしていただければ幸いです。
さて今年最初の画像は
糸目友禅の過程の拡大写真です。
解説いたしますと、
図案通りに
糸目糊を引いたところがブルーの線で見えています。
そこに準備した染料を筆、刷毛で色挿していきます。
この図案の場合は葉、一枚一枚ずつ。
紅葉ですから赤から緑まで、全体のバランスを見ながら色を散らせていきます。
作業机の下に電熱器が置けるようになっています。昇ってくる
暖かい空気に晒しながら色挿しすると、染料が早く乾くので染料のはみ出しを防ぐことができます。
色挿しが終わったところ。まだ
糸目糊が青く見えています。
蒸し、洗いなどの工程を経て、色が発色し、余分な糊も落ちた出来上がり。
糊の
跡が白い線状に残っています。
手描き友禅が糸目友禅とも言われる由縁です。
このような糊の使い方を
「糊で防染する」と言います。
防染とは「染まらないようにする」こと。模様の色の境目を防染して白く残し、模様をクッキリ見せる技法が糸目友禅なのです。
ご参考までに。
鯉のぼりの鯉を伝統技法で染める場合も、今回ご紹介した写真と基本的に同じ作業工程で行います。違いは生地が鯉のぼりにふさわしい丈夫な綿であること、遠くから見えるように糊の線も太くたくましく、色合いもくっきり原色で、といったところです。
筆も刷毛も着物用より太いですが、
技術としては友禅と同じ「糊防染」(のりぼうせん)
各地にのこる
大漁旗なども同様。
日本では古くから糊を利用して様々なことをしてきたわけです。
※写真の糊は米ではなく合成ゴムによる糊です。米(もち粉)から作った糊(真糊)による糸目糊の例は、このホームページ「ぼかし屋の染めとは」で紹介しております。
このホームページにはぼかし屋友禅あての
「お問い合わせ票」があります。「お問い合わせ」から
自動的に送信できますので、ブログへのご質問、感想などもお気軽に発信していただけたらと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。<(_ _)>
季節の便り | 06:33 PM
| comments (x) | trackback (x)