2025年04月

 
 
薔薇の総柄、染帯の引き染め
下絵や糸目糊置きを紹介してきたバラの総柄の染め帯の工程の続きを。
地色の引き染めです。




地色(模様ではない生地全体の色のこと)を染めるのに、部屋の柱と柱の間に生地をピンと張って(引っ張って)刷毛で染料を染め付けるので「引き染め」と呼びます。
ご参考までに、
地色の染め方には他に煮染め(にぞめ)があります。染料がグラグラに煮立っている大鍋に生地を入れて染めます。藍染のように常温の染料にじっくり浸して色をつける方法は浸染(しんせん)です。
さて引き染めのために生地をピンと張る道具は「張り手」 張り手で生地を挟み込み麻縄で引いてピンとさせます。


帯地の端の部分。
帯地の染め始めの部分を白のまま残るところと、色染めしたところの境目。


この境目がきっちり綺麗にまっすぐでないと誂え帯(創作一点物)の価値がなくなると師匠に教えられたものです。量産品ではこのような一本ずつ織り上げた生地は使わないからです。この色、この模様だけのための生地ですよ、という意味になります。


ピンク色の染料の入ったバケツと刷毛、霧吹きなど。
ぼかし屋は必ずぼかし染めしますので、色ぼかしのために生地をこする刷毛も必要です。刷毛は2本、そして刷毛の余分な水分を吸い取らせるために新聞も必須です。


予定通りふわ~んとした雰囲気で染め上がったと思います。
この後は模様の色挿しに進みます。

ぼかし屋の染め風景 | 11:34 PM | comments (x) | trackback (x)
手描友禅の職人組合である東京都工芸染色共同組合が主催する年1回の展示が来月予定されています。
例年3月に浅草の産業会館で開かれていましたが、今年から会場を上野の東京都美術館に移しました。



(宮崎は14,16,18日に会場におります)

ご存じのように東京都美術館は大変大きな美術館で、メインの展示会場では超有名な内外の美術の展示が行われています。今回の手描き友禅の展示はそのメイン会場のすぐ脇のギャラリーAで開きます。
ぼかし屋の作品は一点だけですが諸先輩方のおしゃれな作品が出ますのでお近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。
お近くに、と言うならばそれはメイン展示場を鑑賞するついで、という事になりますね。
実は東京都美術館への移転が決まった時に組合員みんなで「着物好きなお客様方が喜びそうなメイン展示にぶつかりますように」と祈ったのでしたが、
ご縁があったのは何と!ピカソの上をいくスーパーアーティスト「ジュアン・ミロ展

ご参考までに展覧会チラシはこちらです。


かつて高校の美術教科書で初めて見た時は「ホアン・ミロ」という表記だったのも懐かしく。スペイン、カタルーニャ出身でピカソと同じくファシズムとフランコ政権に反対の立場を貫いた人だそうです。

着物好きの興味を引く展覧会が他にないかと言えば、5月25日まで東京藝術大学大学美術館で開催中の「相国寺展-金閣・銀閣 鳳凰がみつめた美の歴史」はいかがでしょうか。


京都の名刹、相国寺は伊藤若冲の「動植綵絵」の本来の所有者として有名ですが、今回の展覧会では若冲の墨絵が展示され、他にも雪舟、探幽、応挙などのお歴々を見られるようです。
やはり観るならコチラでしょうか!
芸大美術館は東京都美術館を過ぎて国立博物館を右にみて左折、少々歩くと左前方に見えます。
何だか展覧会情報になってしまいました(^^)

お知らせ | 11:00 PM | comments (x) | trackback (x)
 

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