東京手描き友禅の参考に。模様「格天井」について。

 
東京手描き友禅の参考に。模様「格天井」について。

 久しぶりに箱根に行ってきました。曇りがちで富士山は拝めませんでしたが、涼しい芦ノ湖の遊覧船などを楽しみ、短いながらも避暑気分を味わいました。
 箱根の宮ノ下にある老舗の富士屋ホテルに初めて行ってみました。宿泊は予算オーバーなのでお昼にランチだけ楽しみました。お料理はもちろん美味しかったのですが、古い木材で作られたロビーやダイニングルームが特に素敵でした。
 このダイニングルームは天井の作りが格天井(ごうてんじょう)と呼ばれる様式です。窓や柱も立派で、そこにいて雰囲気を味わっているだけで十分ご馳走でした。


富士屋ホテルHPの写真より

 格天井とは日本建築の天井様式の一つで、格子に組んだ角材が天井板を支えるものです。神社仏閣など格式高い建築では格子で区切られた正方形のマス目のそれぞれに天井絵を描いてあり大変豪華なものです。
 多くの場合その天井絵が花鳥だったこともあり、格天井そのものが着物の模様の題材として使われました。格子で区切った正方形の中に四季の花々や鳳凰、向い鶴などのお目出度い模様を描くので格調高い柄行きになります。袋帯や黒留袖の柄に用いられることが多いようです。残念ながらぼかし屋には作例がありませんので、西陣織の織屋さんのブログからお借りした写真をご覧ください。


袋帯   梅垣織物さんのブログから
https://ameblo.jp/umegakiorimono

 梅垣織物さんのブログは掲載の写真が綺麗なだけでなく、織物についての説明が参考になるので折々拝見しております。この格天井の袋帯も本当に美しいですね。格子で区切っているために固くなりがちな模様ですが、柔らかい色合いの上品な袋帯になっています。パキッとした紺地の着物にこんな帯を締めたら引き立つことでしょう。
 この模様は西本願寺白書院の格天井を参考に制作なさったそうです。


西本願寺白書院

 建築だけでなく、着物の模様は日本伝統の色々なもの、扇や箱などの道具類、楽器、風景、家紋、四季などなど…を元にして作られています。これからも機会をとらえて模様のお話をしたいと思います。

 たとえば富士屋ホテルダイニングルームの窓には御簾がかかっていました。



 御簾も模様になるのです。次の機会に取り上げたいと思います。
それにしても素敵なダイニングルームでした。いつか宿泊してみたいものです。
東京手描き友禅 模様のお話 | 10:52 PM | comments (x) | trackback (x)

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