家康の羽織

 
今放送中のNHK大河ドラマ「どうする家康」が佳境を迎えています。
頼りない若様だった家康が様々な辛酸を経て家臣に恵まれ天下を制していくストーリー。
年齢と共にずいぶん家康らしくなってきたな~と思いながら楽しんで観ております。

大河ドラマの衣装については素晴らしい、時代にも合っていると感心する場合と、時代的にあり得ない色や形で疑問符がつく場合とがありますが、今年の家康は前者。
特に後半になってからの家康の衣装が凝っています。


後ろ姿が家康。絞り染めの羽織です。


白地に模様を出すために糸で模様と地の間を縫い絞り、模様部分(内側)だけを彩色したり、墨の細い線で形をとった技法です。私は詳しくないのですが、安土桃山期から江戸初期の染めで「辻が花」と呼ばれる絞り染めの一つです。


徳川家の家紋である三つ葉葵紋が染め抜かれています。デザインもお洒落で、作成にあたり具体的な参考例があったのでしょうか。

上野の東京国立博物館の常設展示で見たことのある家康の羽織をご紹介します。


展示の解説によれば、千葉県行徳の鷹師、荒井源左衛門が家康から拝領したものと伝わる羽織。背紋は丸枠の中に三つの「三つ葉葵紋」で凝っています。


あまり退色せず綺麗な状態です。鷹狩が好きだった家康。よい仕事をした鷹匠に衣服を与え、鷹匠の子孫が大切に保存してきた様子ですね。


雰囲気がよく似ているので、テレビに登場する羽織は現存する羽織を参考にして制作されたのかもしれませんね。

テレビ画像に戻って、

写真では分かり難いのですが、家臣たちの衣装は家康の羽織より単純な柄ながら絞りが多く「本当にこんな感じの姿だったのかもしれないな」と思わせられました。

着物あれこれ | 11:08 PM | comments (x) | trackback (x)

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