2022年09月

 
 
東京手描き友禅 ぼかし屋の大輪の菊


九月九日は「重陽の節句
長寿を願う菊の節句です。
子供の成長を願う桃の節句(三月三日)や菖蒲のお節句(五月五日)と比べると華やぎに欠けるせいか現在では知名度が低くて残念です。
平安の昔から菊に綿を載せ、花露を吸わせて菊の精を頂戴する儀式が行われたそうです。
一本立ちする大輪の菊は中国伝来で万葉の昔は日本に無かったとのこと。唐から届いた新しい花だったので、平安朝の人々はよけい有難味を感じたのかもしれないですね。

菊の花弁は美味ではないのにお酒にいれて飲んだり、お浸しにして花弁そのものを食べたりするのは、重陽のお祝いの流れかもしれないですね。何となく縁起がよさそうな気がしますから。


ぼかし屋の菊、花と花がそれぞれ渦を巻くように花びらを躍らせてみました。

大輪の菊の花はこんもり盛り上がっているだけでなく、花びらに渦巻きの流れがあるので、単に放射線状に花びらを配置するのではなく、花びらに演技させ色々な流れを作れます。描く者にとっては面白い材料です。
面白い大輪の菊の描き方といえば何といってもお手本はこちら。


葛飾北斎、北斎漫画より

色々描かれた中で中段右端の大輪の菊。
渦巻き菊のお手本ですね!(^^)!


北斎漫画は絵のお手本。実際の菊より渦を強調して「ほらこんな風にすると面白いよ」と北斎先生が言っておられるみたいですね。
江戸時代は菊の園芸がさかん。交配で様々な形、色の菊が発達したそうですよ。


こちらはガラス工芸、ルネ・ラリックの作品(1900年頃)


胸元や髪用の小さい飾りですが、枠の中でも菊がノビノビと花びらを伸ばしている自由な感じ、それに色彩、現実の菊の色合いに囚われない青磁色が美しいです。見習わなければ!!


季節の便り | 09:47 PM | comments (x) | trackback (x)
 

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