2025,11,24, Monday
11月も後半となりニュースで嵐山が紅葉の最盛期だと放送されていました。遅くなりましたが今年の染芸展の展示作を紹介します。

柄行は紅葉と桜。もみじは一番好きなテーマで何度も模様に取り上げてきました。でも一番の問題は季節感がありすぎること。青もみじであれば春も現しますが、赤や黄に色付いた楓などのもみじは「紅葉」と書いて「もみじ」と読むように秋そのもの。せっかくの訪問着の出番が減ってしまう!残念です。

春秋に着られるようにというのが柄行の意図ですが、これは別にぼかし屋オリジナルではありません。ずいぶん前から真似たいと思っていた過去の名作があるのです。
北大路魯山人「雲錦大鉢」1940年頃
「雲錦」の読みは「ウンキン」意味は「桜の雲と紅葉の錦」です。
あり得ないけれど素晴らしい眺めを同時に見たらこうなるよ!という絵柄のことです。「雲錦手」「ウンキンデ」とも呼ばれます。
魯山人のこの大鉢はご覧の通り少し潰して楕円にしています。
そして魯山人にはさらに先輩がいます。

仁阿弥道八「楓桜文鉢」主に江戸後期1800年代前半に活躍した京焼の名人
鉢の内外に紅葉と桜はぎっしり描かれています。
こちらは上野の国立博物館の所蔵で、運が良いと常設展示室に何気なく飾られていたりします。誰にも邪魔されずに眺めた経験があります。
雲錦手の模様は他にも見かけますが主にこの2作品は存在感が大きいと思います。
真似てみたいとずっと考えていました。今回はお試し作です。

桜も紅葉も実際にはない色と形ですが好きなように染めてみました。

もっと立体的にすればよかったと考えたり、これくらい平板でよかったと考えたり、桜にもっと存在感を持たせてもよかったか、これでよかったか等々、自身での感想は定まっていません。また染めてみようと思っております。
ぼかし屋の作品紹介 | 07:25 PM | comments (x) | trackback (x)



